
く振ってたたきつけたりした。このようなサルの激しい動きと手による圧迫によって、ヘルメットが首の周りに180度回転し、サルの頭から顔方向へ脱げ、首の前にヘルメットがぶら下がった状態になってしまい、失敗に終わった。
試作第2号は後頭部のFRP樹脂部分を延長することによってこれを防いだが、首輪部への耳前部からのベルトの取り付け位置が悪く、また、内部に張り付けられたウレタンの厚みが厚すぎたため、サルにとっておそらく装着感が悪く、被験体のかなり激しい動作によって、今度は後頭部方向へ脱げてしまった。内部のウレタンの厚みが厚すぎたことは、サルが首や頭を振る動作によるヘルメットの動きを大きくし、そのために、ヘルメット前部がサルの眉上隆起を越え、目に覆いかぶるような位置までずれてしまった。行動上から判断すると、視界を遮られることをサルは極度に嫌ったものと思われる。
これらの経験から、後頭部の形状を変更し、下方へ延長するとともに、ヘルメット内部に張り付けるウレタンの厚みを1/2(4mm程度)にし、ベルトの取り付け位置を、サルの首の左右前方にずらすなどの工夫をして実験用ヘルメットが完成した。
この間の繰り返しての麻酔投与、剃毛、ヘルメット装着により、慣化が促進されたと考えられる。
5)動揺暴露・脳波測定実験
a)実施場所および実施時、実験装置
本実験は、大阪府立大学工学部内の乗り心地シミュレータ実験棟内において、1997年1月10日に行われた。本実験のため、乗り心地シミュレーター内に設置されている人用の座席を撤去し、サル用の木製実験ケージ(600mm×450mm×600mm)を固定した。実験用ケージは前面に鉄製のバーがはめ込んであり、VTRを用いて正面位置からサルの行動をモニターし録画した。ここからサルは自由に外部を見ることができた。ケージ上方にはテレメータの受信用アンテナが設置され、有線でシミュレータ外の受信ユニットヘデータを誘導した。

写真2.2.4−2 実験時の乗り心地シミュレータ内部の様子
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